【3分法話】磁石のごとし

親鸞さまは主著「教行信証」で「正信念仏偈」をお作りくださいましたが、その直前に「阿弥陀仏の本願力は、迷いを破り、煩悩から離れさせていく働きです。そしてそれは往生した人だけでなく、そのまわりの人たちの心も浄らかにしてくださいます。なぜかというと浄土の浄らかな功徳は、往生した人を浄化するのみならず、まだ往生していない人たちも救いたいという願いとなっていくからであります」とお教えくださり、続けて泉や蓮華、蜜、父母、磁石に喩えてご解説してくださいます。
阿弥陀仏の本願とは安心を満ち溢れさせ、際限なく湧き上がり汚れることなく、さらには「磁石」のように迷いの私を浄土の方へと引き寄せようと働いてくださる、この父母のように導き支えお守りくださる本願の働きは、悩みの私を決して放り置くことできない、だからこの働きはお浄土に往生した人だけではなく、その周りの人に必ず及ぶ、だからこの際限なく湧き上がる本願の働きは、この先もずっと多くの人を導き続けてくださるのだ、とおっしゃるのです。
「本願は喩えば磁石のごとし」目に見えない働きはいま現に届いてくださってあります。先人のご縁があればこそ私はこうして手を合わせ、念仏申しているのだけれど、それはあのお方々を通さなければ私を引き寄せることはできないと阿弥陀仏はお考え下さった、つまりあの方によって私はやっと阿弥陀の本願に遇わせていただくことができたのです。
親鸞さまは、深い因縁によって念仏申す身とならせていただいたことをよろこばせていただきましょう、私を導き支えお守りくださってある本願の働きをお讃えいたしましょう、と正信念仏偈をお作りくださったのです。
ぜひ、味わってみていただきたいお言葉であります。

2021年06月30日